アイルランド2015 ダブリン編 - アイルランド音楽の公認講師の資格取得試験に挑戦

4年ぶりにアイルランドに行ってきました。

約2週間の滞在で、最初の1週間を首都のダブリンで、後半の1週間を4年前に住んでいたフィークルで過ごしました。

 

アイルランド エアリンガス

アイルランドのフラッグキャリア、エアリンガスでダブリンへ

 

アイルランド テイトー

機内販売のメニューに載っていた「クリスプ*・サンドイッチ」なるサンドイッチを買ってみました。*クリスプ=英語でポテトチップスの意。ポテトチップスは日本のフライドポテトに相当します。

アイルランド テイトー

テイトー(アイルランドのポテチ)と食パン2枚とバターがセットになっています。バターはケリーゴールド(Kerrygold)のクリーミーバターです。

 

アイルランド ポテトチップス

パンにバターを塗ってポテチを挟むだけなのに3.5ユーロ(460円)もするなんて・・

 

アイルランド サンドイッチ

アイルランド人の味覚はよく分からんと思いつつ、久々に食べたテイトーの味に懐かしさを感じました。

 

アイルランド レンタカー

空港で借りた2週間の旅の友となる「ルノー・トゥインゴ」。

 

Cultúrlann na hÉireann

着いた日の翌日からダブリン郊外のモンクスタウンに1週間滞在しました。

 

コールタス・キョールトリ・エーレン 本部

滞在した先はアイルランド音楽の国際協会「Comhaltas Ceoltóirí Éireann (コールタス・キョールトリ・エーレン)*」の本部のある「Cultúrlann na hÉireann」という施設で、ここで一週間の合宿に参加しました。

*Comhaltas Ceoltóirí Éireann = アイルランド語でアイルランド音楽(家)協会の意。世界中に支部を持つアイルランド音楽の国際協会で日本にも支部があります。略して「CCÉ」。

 

Comhaltas TTCT

合宿はアイリッシュ音楽の公認講師になるための資格「TTCT」という試験の受験生のための合宿で、1週間泊まり込みで教育実習を受けます。

 

このサイトの他のページにも書いてあるのですが、日本でも最近は「アイルランド音楽」だとか「アイリッシュミュージック」だとか「ケルト音楽」とか言葉をそこそこ聞くようになりましたが、実質日本だと「言葉」だけが先行していて、実際のところ「アイルランド音楽」や「アイリッシュミュージック」がどんな音楽か理解している人は少ないが現状のような気がします。

 

結局今現在の日本においては「何でもアイリッシュ」で通ってしまうのが現状です。

 

こういう演奏が本当のアイリッシュミュージックだとか、こういう演奏はよくない演奏だとかを認識している人がほとんど居ませんので、それこそアイルランドと全く関係のない音楽や演奏であっても、聞く人によってはそれが「アイルランド音楽」だと言われればそれで通ってしまうのです。

 

しかしながらというか、当たり前の話ではありますが、アイルランドの音楽はアイルランドという国の音楽です。

 

基本的に「アイルランド音楽」といった場合はアイルランドの伝統芸能である「アイルランド伝統音楽」のことを指しますから、「アイルランド音楽」と言えばアイルランドで何百年と受け継がれてきたアイルランドの文化遺産ということになるわけです。

 

日本ではなかなかアイルランド音楽の奥深いところに触れる機会がないのですが、私自身の場合はアイルランドでアイルランド音楽を学んだ身ですので、当然と言えば当然なんですが、いい加減な気持ちで弾きたくないと思っています。

 

最近はその音楽を人に教えたりするようになっていますが、仮にも他国の文化遺産なわけですから、他国の伝統芸能を間違った形で教えてしまったら、一国の文化遺産に傷をつけてしまうことになりますから、ぜひとも正しい指導方法を身に付けたいと思いこの合宿への参加を申し込みました。

 

ちなみに誰でも申し込めるわけではなく、人に指導できるだけの演奏能力があることはもちろんですが、アイルランドの伝統芸能の指導者としてふさわしいかどうかも見極められます。

 

事前に審査があり、その結果を踏まえて合宿への参加の可否か決まります。

 

オーディションは6月にあり、審査員はフィドル奏者としても有名なオシーン・マクディアマダでした。

 

8月にアイルランド音楽家協会本部より面接の結果が送られてきて、晴れて合宿への参加が認められました。

 

アイリッシュミュージック 指導者講習

合宿は連日朝から夕方までびっちりと実習&授業がありけっこう大変でした・・

 

合宿ではは机上の勉強だけでなく、実際に子供たちに伝統音楽を指導することもあって、かなり実践的な内容の濃いコースでした。

 

私は子供の指導の経験がほとんどなく、英語での指導する経験もなかったのでかなり不安でしたが、音楽に国境はないとはよく言ったもので言葉は通じなくても何とかなるものでした。

アイリッシュフィドル 指導

「教育実習」では日替わりで色々なレベルの子供たちを指導します。私が担当した子の中にはリアム・オコーナー(Liam O'Connor)*の姪っ子が居てびっくりでした。*アイルランドのフィドル界で知らない者は居ないであろう超有名なフィドル奏者です。

 

合宿では自分が専門とする楽器以外の指導法も学ぶことが義務付けられていて、今回の合宿ではバンジョー、マンドリン、ティンホイッスル、フルート、コンサーティーナの指導法も学んできました。

 

アイルランドの音楽ではフィドルの先生がコンサーティーナを教えたり、コンサーティーナの先生がティンホイッスルを教えたりと、異なる楽器間で教えることはごく当たり前に行われています。

バンジョー 指導

バンジョーとマンドリンのレクチャーを担当のブライアン・フィッツジェラルド(Brain Fitzgerald)。オールアイルランド・フラーで優勝したこともアイルランドを代表するバンジョー奏者の一人です。本人もこの合宿に参加して、アイルランド音楽の指導者の資格を取得したそうです。

 

コンサーティーナ ワークショップ

コンサーティーナのレクチャーでは演奏の指導法だけでなく、楽器の整備の仕方も習いました。子供がいたずらして楽器をおかしくしてしまった場合でも対処できるよう簡単な整備法は身につけておくようにとのことでした。

 

アイリッシュフィドル

フィドルのレクチャーはキャスリーン・ネスビット(左)とパディ・ライアン(右)が担当。キャスリーン・ネスビットはリバーダンスのフィドル奏者で、ケルティックウーマンのメンバーでもある「マレード・ネスビット(Máiréad Nesbitt)」のお母さんです。パディ・ライアン(Paddy Ryan)はロスコモン州出身のフィドル奏者で、演奏家としても有名ですが指導者としても有名です。2014年に来日したアイルランドを代表するフィドル奏者オシーン・マクディアマダの先生の一人でもあります。スライゴ、ロスコモン、リートリムエリアをカバーするローカルFM局「シャノンサイドFM(Shannonside FM)」でヘザリーブリーズ(The Heathery Breeze)という伝統音楽の番組のパーソナリティも担当しています。

 

アイルランド伝統音楽 モーダルキー

合宿ではアイルランド音楽を学ぶ(教える)上でとても重要な、モード(モーダルスケール)についてのレクチャーもありました。

 

オシーン・マクディアマダ

「モード」のレクチャーの担当はオシン・マクディアルマダ(オシーン・マクディアマダ)。一昨年「テーダ」の公演で来日したフィドル奏者です。

 

アイルランド音楽 スローエア

スローエアのレクチャーでは、外国人(non-Irish native)としてこの音楽に挑むにはどのようにしたらよいかや、子供(アイルランド人の)にスローエアを導入していくにはどのようにしたらよいかなど、具体的なアドバイスがありとてもためになりました。

 

アイリッシュ・ミュージック 指導者

楽器の演奏とは直接関係のないレクチャーもいくつかあり、このチャイルドプロテクションはアイルランドで講師になる際にはとても重要なサブジェクトのひとつなのだそうです。

 

アイルランド 学校教育

障害を持つ子供に伝統音楽を教えるためのレクチャーもありました。

 

アイリッシュ・ミュージック・セッション

合宿中毎晩参加者たちによるセッションがありました。皆公認講師を目指すとあってかなりレベルが高いです。一番右のコンサーティーナの女性は「ロシーン・ブロードリック(Roisin Broderick)」という有名なコンサーティーナ奏者でCDもリリースしています。その右のKerrie Herrityは写真ではバンジョーを弾いていますが、ハープとフィドルとバンジョーとマンドリンでオールアイルランドフラー(All Ireland Fleadh)で優勝した経験を持つマルチプレーヤーです。この人もCDをリリースしています。

 

アイルランド パブセッション

合宿参加者セッションの模様。左から3人目のレベッカ・マッカーシーはオールアイルランドフラーの18歳以下部門の勝者です。その右のルシア・マクパートリンは今年(2015年)のフラー(Fleadh)のフィドルスローエア部門の優勝者。

 

参加者はアイルランドの全土から来ていて、北はドネゴール(アイルランド最北端の州)から南はコーク(アイルランド最南端の州)、北アイルランド(イギリス領土)からも参加者があり、他にイギリス、アメリカからの参加者も居ました。皆一週間同じところで寝泊りして、三食共ににするので次第に仲間意識が芽生えてきます。

 

アイリッシュ・ブレックファスト

食事は朝は毎朝「フルアイリッシュブレックファスト」でした・・。6日間連続だとさすがに飽きてきます・・

 

アイリッシュ・ディナー

昼食と夕食も所謂"アイリッシュ"な食事で、慣れていない日本人には堪えるかもしれません・・

 

ちなみにこの合宿を主催している「Comhaltas Ceoltóirí Éireann (コールタス・キョールトリ・エーレン)」はアイルランドの伝統的な音楽やダンス、アイルランド語などのアイルランドの文化の普及に努める国際的な振興団体で世界中に支部があります。日本にも支部があります。

 

コールタス・キョールトリー・エーレンの支部
コールタス・キョールトリー・エーレン(Comhaltas Ceoltoiri Eireann)の支部のある国々

コールタスが発足したのはアイルランド共和国が成立*して2年後の1951年のことで、以後半世紀以上に渡って世界中でアイルランドの伝統芸能であるアイルランド伝統音楽の普及と保存、奏者の育成に力を注いでいます。

 

本部はダブリン州のモンクスタウンにあり、本部にはお店やパブが併設されていてコールタスで発行している楽譜やCDを買うことができます。パブではセッションも定期的に行われています。

 

*現在の「アイルランド共和国(Republic of Ireland)」が正式に成立したのは1949年のことです。それ以前のアイルランドはイギリスの植民地であったり、自治権はあっても英連邦の一部であったりと、完全に独立した一国家ではありませんでした。そういったことからアイルランドはとても若い国とも言えます。アイルランド音楽協会「Comhaltas Ceoltoiri Eireann」はまさにアイルランドの歴史とともに歩んでいる、アイルランドの伝統文化を司る非常に重要な機関としての役割を果たしています。

 

アイリッシュミュージック CD 店舗

コールタス本部のショップで売られているCD。なかにはここでしか手に入らないものもあるので、アイルランド音楽好きにとってはmust go的な場所のひとつになっています。

 

アイルランド音楽 公認講師試験

一週間の合宿の最終日はパーティーがあり講師陣、受講生互いに一週間の疲れを労いました。

 

アイリッシュ・ミュージック 講師陣

一週間色々なレクチャーでお世話になった講師陣の方々。

左から

・キャスリーン・ネスビット(フィドルのレクチャー担当)

・マーティン・パワー(日本を拠点に活躍するフィドル奏者「マイキー・オシェイ」の先生 - アイルランド音楽の指導法とアコーディオンのレクチャーを担当)

・パディ・ライアン(フィドルのレクチャー担当)

・ケイ・ウェブスター(ホイッスルのレクチャー担当)

名前をど忘れ・・・(コンサーティーナのレクチャーを担当)

・マジェラ・バートリー(フルートのレクチャーを担当)

 

アイルランド音楽 TTCT

女性の参加者たち。

 

アイリッシュミュージック 教則本

合宿終了後、日本でのアイルランド音楽の普及に役立つようにと、色々なものを頂きました。これはその一つの「TRAD IS FAB」という教材で、本国アイルランドの小学校で伝統音楽を教える際に使われている教材です。

 

アイリッシュ音楽 教材

子供やアイルランドの分化を知らない外国人に教えるときに役立ちそうな教材キットです。

 

今回のこの講座を受講したことによって即認定講師になれるわけではないのですが、自分にとってはとてもためになるレクチャーが多く、特に日本人がこの音楽を弾けるようにするには何をすればいいかということについて多くのアイデアを得ることが出来たと思います。

 

この講座で得た知識を今後の自分のレッスンに活かしたいければと思います。

 

正式な認定講師の資格を得るにはコースの最終日に受けた筆記試験に合格していないといけないのですが、結果が分かるのは年明けだそうで正式なアイルランド音楽講師と名乗れるまでにはもうちょっと時間がかかりそうです。

 

アイルランド音楽 試験

合宿の最終日に行われた筆記試験に合格すれば、晴れて正式なアイルランド音楽の認定講師となることができます。結果が出るのはクリスマス以降になるそうです。