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美しい鉄道橋、アイルランドのタリーズ、北アイルランド問題 etc]
Slieve Gullion Co. Armagh 573m
スリーヴ・ガリオンはアーマー県の最高峰の山です。標高は573メートルです。
北アイルランドのニューリー(Newry)という町がこの山への最寄りの町となります。
私自身はアーマーの町*に宿を取ってそこを拠点にこの周辺を回りました。
*アーマーの州都
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頂上までのルートは色々とあるそうです。私は北側から直線的に登るルートで登ってみました。このルートが一番一般的なようで、地図にもルートが載っています。
北側の登山口近くにあった家。
左が母屋で、右は納屋か何かだと思われます。
絵葉書に出てくるようなアイルランドの典型的なコテージです。
山の中腹付近からの登山口方向(北側)の景色。
真ん中に見える湖はCamlough Lakeという湖です。
頂上の三角点。頂上までの距離は3.4kmです。
ここまでの道のり
麓からの距離は3.4㎞、所要時間50分でした。
山頂で記念撮影。
シュリーヴ・ガリオンの山頂には三角点とは別にもう一つ三角点のようなものが立っていて、その上にはこの山の山頂から見える山の名前と方角と距離が書かれています。
山頂から各山への方角と距離。オファリーとリーシュ州に跨るスリーヴ・ブルーム(Slieve Bloom)も載っています。
頂上からの眺め。
頂上からの眺め。遠くに見えているのはモーン山脈だと思います。
往復の全行程。
距離6.94㎞、所要時間1時間35分でした。
スリーヴ・ガリオンの北西のタサ(Tassagh)という小さな村の外れに、かつてこの村を通っていた鉄道で使われていた鉄道橋(viaduct)が残されています。
ちなみにアーマー州出身でアメリカで活躍した歌手の「トミー・マケム(Tommy Makem)」はこの村の近くの「Keady」という町の出身です。
アイルランドにはかつては国中に鉄道路線が張り巡らされていたのですが、モータリゼーションの発達に伴い多くの路線が廃線となってしまいました。
タサの鉄道橋のあった路線はモナハン州のキャッスルブレイニー(Castleblayney)とアーマー(Armagh)を結んでいた路線で1957年まで運行されていました。
下から見上げた鉄道橋。
アイルランドでは今でも多くの廃線となった鉄道路線の跡を見ることができます。
特にこのような鉄道橋は地域のランドマークの一つとして大切に保存されているものが多いです。
アーマーには他にも古い鉄道橋がいくつか残っていて、ベスブルック村(Bessbrook)の「クレイグモア鉄道橋(Craigmore Viaduct)」は特に有名です。
ちなみにクレイグモア鉄道橋は、ダブリンとベルファストを結ぶ路線に架かる現役の鉄道橋です。
クレイグモア鉄道橋は18のアーチがあることから「エイティーン・アーチーズ(eighteen arches)」という名前でも知られています。
上の写真とは別の日に撮ったクレイグモア鉄道橋
スリーヴガリオンの麓のバリーキールには「ドルメン」という古代の遺跡があります。ドルメンは新石器時代頃の巨石墓で、アイルランド各地で見ることができます。
バリーキールのドルメン。クレア州の有名なドルメンしか見たことない人にはこれでも相当大きく感じるかもしれませんが、アイルランドの他のドルメンを見慣れてる人には、やや小ぶりに感じる大きさだと思います。
スリーヴガリオンの南東のジョーンズボロー(Jonesborough)村近くのキルナサガート(Kilnasaggart)には「キルナサガートの石柱」があります。
キルナサガート(Kinasaggart*)は「神父の教会(Church of Priest)」という意味で、アイルランド語で「Cill na Sagart」と綴ります。*アイルランドの地名によく出てくる「Kil」または「Kill」は教会という意味です。アイルランド語だと「Cill」と綴ります。
高さ2.8メートルのこの石柱は紀元700年頃に作られたもので、「建造年の分かるキリスト教的な石柱*」としてはアイルランドで最も古いものだそうです。
*The oldest dateable Christian stone monument.
紀元700年当時は石を十字の形に切る技術がなかったのか、石面に十字架を刻んでいるのが特徴です。
裏側にはアイルランドの十字架の象徴の「ケルト十字」も刻まれています。
石柱の根本にはアイルランドの古い文字「オガム文字(Ogham)」も刻まれています。
キルナサガートの石柱のすぐ西側にはMoyry Castle(モイリー城?)という17世紀に建てられた城跡があります。
Moyryとはplain of the kingという意味のアイルランド語でアイルランド語では「Maġ Rí」と綴ります。
Moyry CastleはMoyry Passを守るために、アイルランド総督のマウントジョイ男爵によって1601年に建てられたと言われています。
Moyry Passはこの城のすぐ脇を通る道で、レンスターとアルスターを結ぶ重要な拠点だったそうです。
スリーヴ・ガリオンの最寄り町はニューリーなのですが、私はアーマー州の州都のアーマーの町に宿を取りました。
ちなみにここはアーマーに来る前に通ったニューリーの「Crossmaglen」という地域。カトリックの居住区なので、北アイルランドですがアイルランドの国旗が掲揚されています。*
*カトリックとプロテスタントは分かれて住むのが普通です。カトリックの居住区、村、町だとアイルランド色が強まり、プロテスタントの居住区、村、町だとイギリス色が強まります。
ニューリーのような大きな町だと町の中に、ここからここまではカトリックの居住区、ここからここまではプロテスタントの居住区と、ひとつの町の中にいくつも境界線ができますが、郊外の村や町になると、村、町単体でカトリックだけ、プロテスタントだけの村、町となります。
その村、町がどっちなのかは入るとすぐ分かります。
通りの名前も英語とアイルランド語で表記されています。(アイルランド共和国ではこれが標準ですが、北アイルランドではレア)
Crossmaglenのパブ「The Clarnagh Maid」。
地元のGAA*のユニフォームや旗が飾ってあります。
*Gaelic Athlectic Association(アイルランド体育協会)の略。アイルランドの国技と呼ばれるハーリングやゲーリックフットボールを管轄しています。
ここもアーマーに向かう途中で通ったアーマー州のカトリックの村「フォークヒル(Forkhill)」への入り口。
ここからアーマーの町に入ります。
アーマーは町中にユースホステル*があって安く泊まることができます。
*アイルランド各地にある所謂安宿としての「ホステル」ではなく国際ユースホステル協会に加盟している「ユースホステル」です。
ホステルの前の住宅街の壁に描かれていたミューラル(mural=壁画)。
この手の壁画は北アイルランド名物の一つで、特にベルファーストではよく見られます。
描かれている内容(?)から察するに、この辺はカトリックの居住区のようです。
その証拠(?)にホステル近くの路上の塀にはこんなことが書かれていました。(↓の画像)
超ストレートな書き方。(笑)
北アイルランドはイギリスに属するので、圧倒的にプロテスタントが多いのですが、少数ながらカトリック教徒の人たちも住んでいます。
アーマーはカトリック人口の方が多い町のようですが、プロテスタントも住んでいます。
カトリック、プロテスタントの両方が住んでいる町にはそれぞれの教会があります。
アーマーのカトリック教会「聖パトリック大聖堂」
正面から見たアーマーのカトリック教会
アーマーにはカトリックの教会と同じく「聖パトリック大聖堂」という名前のプロテスタントの教会もあるのですが、行きそびれてしまいました。
「プロテスタント」の教会でも「聖パトリック大聖堂」と呼びます。
ダブリンにもプロテスタントの「聖パトリック大聖堂」があります。
アーマーはアイルランドにキリスト教を伝えた「聖パトリック」が最初に教会を開いた土地で、聖パトリックの建てた最初の教会があった場所でもあります。
壁画といえばアーマーには1981年に起こったハンガーストライキで亡くなったレイモンド・マクリーシュ(Raymond McCreesh)のミューラルもあります。
話は変わってこちらはアーマーの町の中心部にあった中国料理のテイクアウト店。
アイルランドにはどんな町にもたいてい中国料理のテイクアウト店があります。
色々な名前のお店があって面白いです。
純中国風な名前、洒落の利いた店名、はっ!?とか、え゛っ!?っていうのものまで色々とあります。
アーマーで見つけたこのお店は店名が「ジェニーズ・キッチン(Jenny's Kitchen)」。
おしい・・・「ジェニーズ・チキン(Jenny's Chicken)」(※)だったらよかったのに・・とアイルランド音楽好きの人達は皆思うはず!?
(※)アイルランドの伝統曲(しかも超定番曲)で「ジェニーズ・チキン」という曲があるのです。
こちらもアーマー市内にあった中国料理店。(やってなかったけど・・)
あまりひねりの利いてない店名かな?
お店の名前といえば、こちらはアーマーのどこかの町を通りかかったときに見つけた「タリーズ」という名前のパブです。
タリーズといってもコーヒーのタリーズではなく普通のパブです。
「タリー(Tully)」はアイルランド人に多い苗字で、アイルランドには多くのタリーさん住んでいます。
伝統音楽好きにうけそうな名前のお店がこちらの「ジョン・ドイル」という名前のパブ。
アーマーの町に向かう途中で見つけました。
創業が1827年という歴史のあるパブです。
ちなみにこのパブ普通のパブとはちょっと違うところがあるのです。
上にそれが書いてあるのですが、このパブはお酒を飲むところだけなく葬儀屋さんも営んでいるのです。(Funeral Director's =葬儀屋)
以前は葬儀屋さんを兼ねるパブが多くあったそうですが、だんだんに数が減っていってこのパブはこの辺りでは数少ない葬儀屋も兼ねるパブだそうです。
アーマーのスーパーで見かけた「MORI-NU Silken Tofu(豆腐)」。(買わなかったんだけど・・)
「MORI-NU(モリニュー)」ってきっと森永乳業のことですよね。(そもそもロゴが森永乳業のだし)
パッケージの調理例を見てもどんな料理なんだか想像がつかないんですが・・・