modes in Irish traditional music
アイルランドの伝統音楽では所謂一般的な「ドレミファソラシド」の音階(スケール)以外に、モーダルスケール(モード)という音階も使われています。
アイルランド音楽では大きく分けて4種類のモードが使われています。
このページではアイルランド(アイリッシュ/ケルト)音楽で使われているモードと、どんな曲にどんなモードが使われているのかを簡単に解説しています。
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アイオニアン・モードは普通のメジャースケール(所謂普通のドレミファソラシド)と同じ音の並びの音階です。
長音階の第一音「ド」を中心とする音階なので「ド・モード(Doh Mode)」とも呼ばれます。
アイオニアン・モードの音並び(クリックで拡大できます)
アイルランドの伝統曲の中で最も多いのがこのモードだそうです。
セッションでもよく弾かれている「ミス・マクローズ(Miss McCloud’s)」や、「サリーガーデンズ(Sally Gardens)」、「オフトゥーカルフォルニア(Off to California)」などはアイオニアン・モードの代表曲です。
アイオニアン・スケールをアイルランド音楽で最もよく用いられるDとGで書くと以下のようになります。
アイオニアン・モード(D)の音並び (クリックで拡大できます)
アイオニアン・モード(D)の楽曲の例
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アイオニアンモード (G)の音並び
ドリアン・モードは長音階の第二音「レ」の音を中心音としたモードです。
ピアノの白い鍵盤だけで「レからレへ」弾いた音階です。
「レ」の音が中心なるので「レ・モード(Ray Mode)」とも呼ばれています。
ドリアン・モードの音並び (クリックで拡大できます)
アイルランドの伝統曲では、「スターオブマンスター(The Star of Munster)」や「クリフスオブモハー(The Cliffs of Moher)」、「ドラウジー・マギー(Drowsy Maggie)」や「モリソンズ(Morrison's)」などはこのモードで弾かれます。
実際の演奏では「E」と「A」のドリアン・モードで弾かれることが多いです。
ドリアン・モード(E)の音並び (クリックで拡大できます)
ドリアン・モード(E)の楽曲の例
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ドリアン・モード(A)の音並び
ミクソリディアン・モードは長音階の第五音「ソ」の音を中心音としたモードです。
ピアノの白い鍵盤だけで「ソからソへ」弾いた音階です。
「ソ」の音が中心なるので「ソ・モード(Soh Mode)」とも呼ばれています。
ミクソリディアン・モードの音並び
アイルランドの伝統曲では、「Seán Sa Cheo」や「トスザフェザーズ (Toss the Feathers)」、「ギャレット・バリーズ(Garrett Barry’s)」などが知られています。
実際の演奏では「A」と「D」で弾かれることが多いです。
ミクソリディアン・モード(A)の音並び
ミクソリディアン・モード(A)の楽曲の例
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ミクソリディアン(D)の音並び
エオリアン・モードは長音階の第六音「ラ」の音を中心音としたモードです。
ピアノの白い鍵盤だけで「ラからラへ」弾いた音並びです。
エオリアン・モードの音並びは所謂普通のマイナースケール(短音階)の音並びと同じです。
「ラ」の音が中心となるので「ラ・モード(Lah Mode)」とも呼ばれています。
エオリアン・モードの音並び
アイルランドの伝統曲では、「ミュージカル・プリースト (The Musical Priest)」や「ライツ・オブ・マン (The Rights of Man)」などが知られています。
実際の演奏では「B」と「E」で弾かれることが多いです。
エオリアン・モード(B)の音並び
エオリアン・モード(B)の楽曲の例
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エオリアン・モード(E)の音並び
ペンタトニック・スケールとは五つの音で構成された音階です。
所謂「ドレミファソラシド」の音階から四番目の音と七番目の音を抜いた音階なので「ヨナ抜き音階」と呼ぶこともあるそうです。
この音階は日本の音楽でよく使われている音階だそうです。
なぜかは知りませんが「アイルランド音楽も日本の音階と同じ五音音階で書かれている」と解説している本やサイトがあるのですが、実際のところアイルランドの音楽で「ヨナ抜き音階」はほとんど使われていないそうです。
アイルランドの民俗音楽を体系的に学べる「アイルランドの民俗音楽とダンス」という本によれば以下のように書かれています。
イリアン・パイプスの奏者でもあった「ブランダン・ブラナック」が著した「アイルランドの民俗音楽とダンス」
「アイルランド」アイルランド音楽の歴史や楽曲の特徴、楽器や歌、ダンスなど様々なことについて体系的に知ることができます。
アイルランド音楽に用いられている音階のことについての解説も載っています。
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アイルランドの音楽にも「五つの音」だけ「六つの音」だけで書かれている楽曲もあるにはあるそうで、「ブリッチーズ・フルオブ・スティッチーズ (The Britches Full of Stitches)」という曲は「五音」のみで書かれているそうです。
ブリッチーズ・フル・オブ・スティッチーズは「五音」のみで弾けるシンプルな曲で初心者のころによく習います。
以下はアイルランド音楽で使われている音階について知るために役に立ちそうな書籍や教則本です。
アイルランドの民俗音楽とダンス
ブランダン・ブラナック (著), 竹下 英二 (翻訳)
日本語で読めるアイルランド音楽について詳しく書かれた本の代表格です。音階のことについても詳しい解説が載っています。
アイルランド音楽の音階については第2章の「音楽の構造」の中で解説されています。
アイルランド音楽の音階について書かれたページ
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Fidil - Irish Fiddle Tutorial
Kathleen Nesbitt (著)
「Fidil - Irish Fiddle Tutorial」はアイルランドを代表するフィドル奏者「キャスリーン・ネズビット(Kathleen Nesbitt)」が著したフィドルの教則本です。
全くの初心者でも学べるようアイルランド音楽で使われている音階のことなどにも言及されています。
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