アイルランド音楽で弾かれている曲やリズムの種類

Types of tunes played in Irish Traditional Music

アイルランドでは以下の種類のリズムの曲が弾かれています。

これら「Reel (リール)」だとか「Jig (ジグ)」といった単語は全て曲の種類を表す言葉であると同時にダンスのリズムの種類を表す言葉でもあります*。

*スローエアを除く

 

基本的にアイリッシュ音楽=ダンス音楽です。

 

リールという曲はリールというダンスのリズムために弾く曲であり、ジグはジグというダンスのリズム用の曲ということになります。

 

アイリッシュ・ミュージックとアイリッシュダンスには密接な関係がありますので、アイリッシュダンスもご覧になってみると良いと思います。

 

アイリッシュダンスについてはこちらのページをご覧ください。

・Reel (リール)

リールは4分の4拍子のダンス曲です。アイルランド最もよく弾かれているがこのタイプの曲です。

アイリッシュフィドルの全国コンクール(オールアイルランドフラー)で優勝したタラ・ブリーンのリールの演奏。

「フラー」とはフィドルやティンホイッスルなどアイルランド音楽で使われている全ての楽器の全国1位の奏者を決めるコンクールです。

アイルランド音楽を演奏する人の大半は出場経験があり、私も滞在中に出場したことがあります。

私のフラー参加記はこちらでご覧いただけます。

同じタラ・ブリーンのフルートの演奏。彼女はフルートでも全国コンクールで優勝しています。


アイリッシュバンジョーの全国コンクールで優勝した「Aislinn Fegan」のリールの演奏。

ティンホイッスルの全国コンクールの12歳以下の部門で2位に入ったBlaithín Kennedyのリールの演奏。彼女はマンドリンも上手です。


・Jig (ジグ)

ジグは8分の6拍子の曲です。リールの次によく弾かれています。

上の動画でリールを弾いている「タラ・ブリーン」のジグの演奏。

若い子たちのバンド編成でのジグの演奏。


・Hornpipe (ホーンパイプ)

ホーンパイプは4分の4拍子のダンス曲です。リールと同じ拍子ですが、リールよりも遅いテンポで演奏されます。リールよりも"はねる”ような感じで演奏されます。

アイリッシュフィドルの全国コンクール優勝者「タラ・ブリーン」のホーンパイプの演奏

ケーリーバンドの全国コンクールでホーンパイプを演奏するAwbeg Ceili Band。


・Slow Air (スローエア)

スローエアは、歌詞の付いた歌の曲を楽器で演奏したものです。

最初から楽器だけで演奏するために作曲されたスローエアもあります。

スローエアには何分の何拍子という概念を持たない無拍子の曲も多くあります。

2014年のアイリッシュフィドルの全国コンクールで優勝したディラン・フォーリーのスローエアの演奏

2011年のフィドルの全国コンクールで優勝したタラ・ブリーンのスローエアの演奏


・Slip Jig (スリップジグ)

スリップジグは8分の9拍子のジグです。普通のジグに比べると曲の数が少ないですが、よく弾かれているスタンダード曲も多くあります。

フィドルによるスリップジグの演奏

ティンホイッスルによるスリップジグの演奏


・Slide (スライド) & Single Jig (シングルジグ)

スライドはアイルランドの南部で盛んに演奏されている、8分の12拍子のダンス曲です。ジグの1種類でもあり、「シングルジグ」として弾かれることもあります。シングルジグでは8分の6拍子になりますが、リズム感は普通のジグとはだいぶ違います。

フィドルとアコーディオンによるスライドの演奏

フィドルによるシングルジグの演奏


・Polka (ポルカ)

ポルカは4分の2拍子のダンス曲です。大ヒットした映画「タイタニック」の中のダンスのシーンでも使われていました。上のスライドと同様アイルランドの南部で盛んに弾かれています。

ティンホイッスルによるポルカの演奏

映画「タイタニック」の中のダンスのシーン。バックで使われている曲がポルカです。


・Highland(ハイランド)

ハイランドはアイルランド北部のドネゴール州でよく演奏される4分の4拍子のダンス曲です。同じ4分の4拍子のリールやホーンパイプとは異なるリズムを持ちます。

ドネゴール州出身のフィドル奏者「Tara Connaghan」のハイランドの演奏


・Mazurka(マズルカ)

マズルカも北部で好んで演奏される4分の3拍子のダンス曲です。

マズルカを演奏するドネゴール出身のフィドル奏者「ヴィンセント・キャンベル」。演奏している曲は「ヴィンセント・キャンベルのマズルカ」として知られています。


・Set Dance (セットダンス)

セットダンスには4分の4拍子と8分の6拍子の2種類があります。
セットはパートの構成に特色があって、AのパートとBのパートの小節数が異なるところが大きな特徴です。

フィドルによるセットダンスの演奏。演奏しているのはオールアイルランドフラーの優勝経験もある往年の名フィドル奏者「ジョー・ライアン」です。


・Barndance (バーンダンス)

バーンダンスは4/4拍子のダンス曲です。直訳すると"納屋の踊り"という意味で、もともとは納屋で踊られていたそうです。

他の4分の4拍子のリール、ホーンパイプ、ハイランドとは異なる趣のある曲です。

フィドルとイリアンパイプス(アイルランドのバグパイプ)によるバーンダンスの演奏です。二人は姉妹で、アイルランド音楽の全国コンクール"フラーキョール"のデュエット部門で優勝しています


・Fling (フリング)

フリングはスコットランドの「ハイランド・フリング(Highland Fling)」をルーツに持つ4/4拍子のダンス曲です。スコットランドのフリングと異なり、"ドット付きのリズム(dotted rhythm)"を持つのが特徴です。

アイルランドを代表するイリアン・パイパー「ウィリー・クランシー」のフリングの演奏です。

・Schottische (ショティッシュ)

スコティッシュ(ショティッシュ)はボヘミア地方発祥のダンス曲で、アイルランドにはスコットランドを経由して入ってきたそうです。

アイルランドを代表するコンサーティーナ奏者「メアリー・マクナマラ」によるスコティッシュ(ショティッシュ)の演奏です。

・Waltz (ワルツ)

アイルランドの音楽でもワルツが弾かれています。

クレア出身のハープ奏者「Alisha McMahon」のワルツの演奏。ワルツのあとにリールを演奏しています。

アイルランドを代表するボタンアコーディオン奏者「ポール・ブロック(Paul Brock)」によるワルツの演奏です。


・March (マーチ)

マーチはアイルランド発祥の曲ではありませんが、アイルランドの伝統音楽のレパートリーにも取り入れられています。

クレア出身のアコーディオン奏者トニー・マクマホンとダブリン出身バンジョー奏者バーニー・マッケンナによるマーチの演奏です

北アイルランドのファーマナ州を拠点とする「プライド・オブ・エリン・ケーリー・バンド(Pride of Erin Ceili Band)」がレパートリーに取り入れていたマーチのセット。