アイルランドで毎年8月に開催される、アイリッシュ音楽の国際コンクール「Fleadh Cheoil na hÉireann (フラー・ヒョール・ナ・ヘーレン)」通称「フラー」に出場するためにアイルランドに行ってきました。
昨年(2023年)、一昨年(2022年)も同じ大会に出場しました。
昨年の模様はこちらのページでご覧いただけます。
Fleadhとはアイルランド語で祝宴とか、饗宴といった意味になるそうです。
Cheoilはアイルランド語で「音楽」という意味、
hÉireannはアイルランド語で「アイルランド」という意味なので、
「Fleadh Cheoil na hÉireann」で「アイルランド音楽祭」といった感じの意味になるでしょうか。
「Fleadh」は1951年から毎年開催されている、アイルランドで最大の音楽の祭典です。
例年一週間の日程で開催され、期間中コンサートやワークショップなどいろいろな行事が催されます。
中でもフラー期間中に開催される音楽コンクール(コンペティション)は、アイリッシュ音楽界最高峰のコンクールとされていて、このコンクールでの優勝はとても名誉なこととされています。
開催地は2年から3年おきごとに変わり、去年と一昨年はウエストミーズ県のマリンガーという場所で開催されました。
今年と来年はウェックスフォード県で開催されることになっています。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
【フラーに出場するための準備編】
フラーのコンクールに出場するためには、予選大会を突破しなければいけません。
日本から出場する場合は、毎年6月に開催されるフラーの日本予選「Féile Tokyo (フェーレ東京)」を経ての参加となります。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
このページを書いている私「Taka」も6月に開催された日本予選に出場し、無事に予選を突破することができたので、本選に出場するためにアイルランドへと向かいました。
今年は8月8日から8月12日(日本到着は13日)までの4泊6日の日程で行ってきました。
ANAのマイルがけっこう貯まっていたので、今年はマイルで買った(交換した)航空券でアイルランドに行きました。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
【8月8日(アイルランド滞在1日目)】
早くもダブリン空港に到着。(笑) (本当は日本を発つ際に色々とあったのですが・・・)
これからレンタカーを借ります。
今年はŠkoda(シュコダ)というメーカーの車を借りました。
Škoda(シュコダ)はチェコのメーカーだそうです。
去年借りた車には冷房の機能が付いていなかったのですが、
今回借りた車には冷房の機能が付いていたので、とりあえず一安心です。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
車も無事に借りれたので、一路ウェックスフォードへと向かいます。
ウェックスフォードはアイルランドの南東に位置する県です。
地図上で見るとウェックスフォードはこんな所にあります
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ウェックスフォードの町はすでに大勢の人で賑わっていて、フェスティバル一色となっていました。
通りのいたるところで子供たちが演奏をしていました。
アイルランドに着いたその日に、ウェックスフォードの町の中心部にある国立オペラハウスで催される、「International showcase concert」という、海外のアイリッシュ音楽の演奏家を紹介するコンサートに出演しました。
ステージ側から見た客席です。リハーサルの時に撮ったので誰もいません。
今年はこのB&Bに泊まりました。
B&Bは「Bed & Breakfast」の略で、読んで字のごとくですが「ベッド&朝食付き」の宿です。
というわけでBed & Breakfastの「Bed(ベッド)」がこちらです。
色々な方から、お姫様部屋と言われました。
どの辺がお姫様部屋なのかよく分からなかったのですが、とても快適でした。
食堂です。
こちらが「Breakfast」、朝食です。
アイルランドの朝食の定番、「アイリッシュブレックファスト」です。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
この日(8月9日)からフラーのメインイベントである音楽コンクールが始まります。
上の写真は私が出場する「Rogha Ghléas/Miscellaneous」部門の会場となった学校の校舎です。
「Rogha Ghléas/Miscellaneous」部門は、いわゆる「その他もろもろの楽器」の部門になります。出場者の演奏する楽器はまちまちで、私はヴィオラで出場しました。
コンクール会場で買った今年のフラーのプログラムです。
今年の「Rogha Ghléas/Miscellaneous」部門の出場者のリストです。
なにげに私「Taka」がトップバッターです。
今年の「Rogha Ghléas/Miscellaneous」部門の結果です。
優勝した「Ademar O'Connor」は昨年の同コンクールのフィドル部門とバンジョー部門の優勝者です。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
この日(8月9日)は「Rogha Ghléas/Miscellaneous」部門以外に出番がなかったので、コンクール終了後にウェックスフォードの町を散策してみました。
上の画像は海岸沿いの通りにあった移動遊園地の観覧車です。
こちらは波止場に停泊していた船です。
上の船着き場の近くにあった巨大なハープのモニュメントです。
ハープはアイルランドの国の紋章にも使われている、アイルランドを代表する楽器です。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
【祝!日本人がフラーで初優勝の快挙!】
上の巨大なハープの辺りを散歩していたところでビッグニュースが飛び込んできました。
同じ日に行われていたハープ部門のコンクール(コンペティション)で、日本から出場した安達莉愛さんが優勝したのです。
日本人がこの大会で優勝するのは初めてのことです。
ちなみに前日(8月8日)に国立オペラハウスで催された、「International showcase concert」では私と安達莉愛さん、そして同じく日本からダンスの部門でフラーのコンクールに出場した方と一緒に出演しました。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
【8月10日(アイルランド滞在3日目)】
アイルランド滞在も早くも3日目です。
本日(8月10日)はフィドル部門と作曲部門に出場します。
上の写真は両部門の会場となった学校の体育館です。
フィドル部門の出場者のリストです。
私「Taka」は4番目にいます。
ですが、実際のところはこの順番通りには演奏しませんでした。
順番通りにことが進まないのが、いつも通りのフラーの光景なのです。
今年のフィドル部門の結果です。
今年は上位の奏者の演奏レベルが均衡していたようで、なんとタイブレークで優勝者を決めることになりました。
つまり最後にもう一曲別の曲を弾いて、それで決着をつけるという方式で勝者が決まりました。
フラーのコンクールにおいては、タイブレークで決着をつけるの珍しいことではありません。今年はハープの部門でも3位と4位をタイブレークで決めたそうです。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
フィドル部門に続いて「Piosai Ceoil Nuacheaptha / Newly Composed Tunes」部門のコンクールが同じ会場が行われました。
この部門は自分で作曲した曲の部門です。
上が今年の新曲部門の出場者のリストです。
私「Taka」は3番目にいます。
もちろんこの部門でも、この順番通りには弾きませんでした。
フラーあるあるな話ですが・・・
ちなみに私「Taka」は2019年にこの部門で2位に入賞しています。
同じく2019年のフラーの同部門で3位に入賞した方が、今年の作曲部門のコンクールに出場していました。
今年の作曲部門の結果です。
3位までに入賞した曲は、フラーの主催者である「Comhaltas Ceoltóirí Éireann」が発行している「Treoir」という雑誌(Magazine)に掲載されるので、興味ある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。
私が2019年に入賞した時の曲も、その年の「Treoir」に掲載されていました。
私「Taka」がFleadhで入賞した年のTreoirの誌面です
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
私「Taka」の今年のコンクール挑戦はこれにて終了です。
今年も大した成績は残せませんでしたが、また次回頑張ってみようかなと思います。
出場できるかどうかは日本での予選次第なので、来年も出場できるか分からないですが、
まだマイルが残っているので、一応来年もアイルランドに行くための航空券の手配は大丈夫そうな感じです。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
【8月10日(滞在3日目)の続き - 現地のFleadh TVに出演編】
コンクールの後はハープ部門で優勝した安達莉愛さん、ダンス部門のコンクールに出場された日本人ダンサーさんと一緒に、「Fleadh TV」という現地のテレビ番組に出演しました。
リハーサル中の安達莉愛さんです。
安達莉愛さんの優勝トロフィーを見せてもらいました。
なんでも来年返さないといけないのだそうです。
トロフィーには歴代の優勝者の名前が彫ってありました。
今年の「Foinn Mhalla, Cruit/Harp Slow Airs 12-15」で優勝された安達莉愛さんです。
オール・アイルランドでの優勝おめでとうございます。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
Nach maith iad muintir na Seapáine! 🗾 #Fleadh24
— TradTG4 (@TradTG4) August 10, 2024
ありがとうございます 🤲 @JPNinIRL @IrishEmbJapan https://t.co/g1af0YwCsN pic.twitter.com/PXqenmaJyb
こちらが日本からの出場者3人で「Fleadh TV」に出演した時の模様です。
オール・アイルランドの1位(今年)と2位(2019年)が共演するという、なにげに贅沢なステージです。
私「Taka」が一人で弾いている曲は私の自作曲で、2019年のAll Ireland Fleadhで2位になった時に作った曲です。
自分で作曲した曲を、いつかアイルランドの公共の電波にのせて弾いてみたいと思っていたので、思わぬかたちで実現することができたので、フラーに出場してとてもよかったと思います。
上の動画で私が一人で弾いている曲の譜面です
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
Chas muid le Ria Adachi, TAKA, Koko Miyazawa agus Éadaoin Ní Mhainín ón tSeapáin ag #Fleadh24 agus labhair muid leo faoin suim atá ag muintir na tSeapáine i gCeol na hÉireann agus iad ag súil go mór le Expo na hÉireann ann an bhliain seo chugainn. 🇮🇪 🇯🇵 pic.twitter.com/vDxIKSNIZF
— TG4 (@TG4TV) August 11, 2024
早いものでウェックスフォードでの滞在も4日目を迎えました。
今日でウェックスフォードを離れダブリンへ戻ります。
ダブリンに戻る前に、お土産などを買いに町に出ました。
上の画像はアイルランドを代表する「ダンズストア」というスーパーマーケットです。
町中をぶらついていたら、偶然ハープの安達莉愛さん(and 莉愛ママさん)に遭遇。
記念?にバスキング(路上演奏)をしましょうとのことで、ほんのちょっとでしたが一緒に演奏してみました。(Photo by 莉愛ママさん)
私たちを見て、昨日TVで見たよと声をかけてくれる人もいたりして、ちょっと有名人に気分を味わいました。
その後ウェックスフォードをあとにダブリンへ。
アイルランド最後の晩はこのホテルに泊まりました。
空港のほぼ真横にあるホテルです。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
【8月12日(アイルランド滞在5日目)】
本日(8月12日)がアイルランド最終日です。
アイルランドで食べる最後の朝食です。
このホテルの朝食はビュッフェスタイルでした。
ビュッフェスタイルなので、なんでも食べ放題です。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
いよいよアイルランド出国です。
アイルランドから日本へは直行便がないので、ひとまずフランクフルトへと向かいます。
飛行機の中から眺めたダブリン上空からの景色です。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
13時間の長旅でしたが、無事に羽田に到着しました。
日本に着いた日は、ちょうどパリオリンピックの閉会式の次の日だったので、羽田空港にはパリ帰りのオリンピック日本選手団と思しき人たちがいました。
以上私「Taka」の2024年のFleadh Cheoil na hÉireannの出場報告記でした。
最後までご覧いただきまして、どうもありがとうございました。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
【後日談 - 評価シートが届きました】
コンクール終了後に注文した、自分の演奏に対する審査員のコメントや得点などが書かれた「評価シート(adjudication sheet)」が届きました。
評価シートには審査員から「ここが良かった」とか「ここはもっとこうした方がいいかも」といったようなことが書いてあり、とても参考になります。